YIA受賞者・報告記

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2018年度 (第28回日本心血管画像動態学会) 受賞者

氏名
中尾 梨沙子
所属
東京女子医科大学病院 循環器内科
発表学会名
ESC (European Society of Cardiology) Congress Paris 2019
会期
2019年8月31~9月4日
演題名
Papillary muscle ischemia and global myocardial flow reserve: assessment by high-resolution cine imaging of 13N ammonia PET
発表形式
Poster

学会参加報告記

 2019年8月31日~9月4日にかけてフランス・パリで開催されたESC (European Society of Cardiology) Congress Paris 2019に参加させていただきました。受賞当時二人目を妊娠中であったため、YIAをいただいてから日にちが経ってしまいましたが、ようやく国際学会に参加できました。私の所属する東京女子医科大学の医局からは主任教授をはじめ15名以上の医師が参加しました。当医局では若手医師の国際学会参加を積極的に薦めていて、今回も後期研修医の先生が4名も参加し懸命に発表していました。

 ESC congressは世界トップクラスの循環器学会で、日本循環器学会をはじめ約40地域の心臓病系学会とも連携しており、毎年3万人以上が参加しています。今回のESCでは糖尿病前症と心血管疾患に関する改定ガイドラインや冠動脈疾患を合併する心房細動に対する抗血栓療法に関する新たなエビデンスが発表され、注目度の高い内容でした。特に後者のAFIRE Studyは9月2日の’Hot Line Session’で研究結果が発表されると同時にThe new England journal of Medicine誌にオンライン掲載されましたので、世界最先端の研究成果をリアルタイムに拝聴することができたことに感激しました。

 また、個人的にはクリーブランド・クリニックのDr. Aminiaが発表された、metabolic surgeryを施行した2型糖尿病肥満患者は心血管イベントが減少するという報告が興味深く、印象に残っています。2000人以上の患者にmetabolic surgeryを施行、予後調査を行っておりスケールの大きさに驚きました。イメージング分野では、CMR feature-trackingや心エコーによるGlobal longitudinal strain解析をテーマとしたものを多く見受けました。

 私は「アンモニアPETの高分解能シネイメージングを用いた乳頭筋虚血の検出及び心筋血流予備能との関連」という演題を発表させていただきました。当院からは心移植患者を対象としたアンモニアPETの演題も採択されており、ポスターを向かい合わせに貼っての発表でした。いただいた質問は少数でしたが、国内の学会で受けたのとは全く異なった切り口からの質問をいただくことができました。アンモニアPETに関する演題は本邦からの4演題のみでしたが、名古屋の先生方がアンモニアPETで測定した負荷時心筋血流量や心筋血流予備能による心事故の発症予測を発表されていたのを拝聴することができ、大変勉強になりました。

 最後に、このような貴重な機会を頂戴し、助成をしていただきました日本心血管画像動態学会の関係者の皆様方にこの場をお借りして心より感謝申し上げます。

  • 火事後補修工事中のノートルダム大聖堂
  • ポスター発表会場にて