理事長挨拶
2021年から理事長を拝命しております東邦大学医療センター大橋病院循環器内科の中村正人です。本学会は名誉会長山口徹先生(虎の門病院顧問、元東邦大学医療センター大橋病院循環器内科教授)の発案で、カテーテルベースによる2つの研究会(日本心血管内イメージング研究会と日本冠内圧研究会)が融合し2000年に日本心血管画像動態学会として発足しました。発足に際しては、侵襲的なカテーテルベースの評価や冠動脈病変に限定せず非侵襲的な冠動脈CTやMRIなどを包含した心血管画像動態学会と命名され、従来は循環器医中心の会でありましたが放射線医の先生方にも参画が呼びかけられました。2003年からは日本心臓血管放射線研究会が同時開催されることとなり、本学会は循環器医と放射線医の活発な交流促進の場としての役割を担い、様々な心血管画像・機能診断の検討が行われています。これまで、山口徹・吉田清(元川崎医科大学循環器内科教授)・栗林幸夫(元慶応大学医学部放射線科教授)・赤阪隆(元和歌山県立医科大学循環器内科教授)の4名が理事長を務められ、時代の要請とともに学会は大きく発展してまいりました。諸先輩の御努力により発展してきている本会の理事長を拝命し、大変光栄に存じております。また、責任の重大さを実感しています。
この20年間で心血管の画像評価、機能評価において大きな進歩がありました。冠動脈病変の機能的評価、形態的な評価はともに研究的な要素が大きかった時代に学会は創立され、エビデンスの蓄積によってイメージングガイドの冠動脈形成術、冠動脈病変狭窄の機能的な評価はガイドラインで推奨される重要な基本的手法となりました。まさに、本学会の設立は的を得たタイミングであったと言えます。結果として、現在新たな局面を迎えたと考えています。臨床的に有用なあらゆるmodalityが使用可能な中、実臨床ではコストエフェクティブに効率よく運用することが求められます。専門家集団と言える本学会はこのような情報を発信する場としての役割の一端を担うのではないかと考えています。一方、多くのエビデンスが確立された今日、コロナ禍もあいまって、年次大会長の先生には運営面で大変なご苦労をおかけしました。今後の学会の在り方を考える大きな“きづき”にもなったように思います。必要な情報を提供する場として、もう一度会員が作る学会であることを皆で考えたいと思います。
イメージングは、さらなるハード、ソフト面の進歩によって新たな情報を得ることや、複数のmodalityの情報を統合することが可能となるでしょう。このような進歩によりさらなる病態の解明、診断精度の向上推進が期待されます。最新の情報を共有し、闊達に議論する場として本学会がさらなる発展を遂げることを期待しています。
本学会は、心臓血管の画像、動態の診断、評価に関する研究を推進し、知識の交流を通して心臓血管病学の進歩に寄与することを目的にしています。循環器医と放射線医が一堂に会して研究発表を行う類を見ない非常にユニークな学会であり、互いに切磋琢磨して知識の交流を深めることが、様々な心血管疾患の病態の解明や診断、治療、予後判定、ひいては予防に寄与するものと確信しています。会員諸氏、関係企業の方の絶大なる御支援、御協力をお願いいたします。
今後、このホームページを介して本学会からの様々な情報発信を行って参りますので、よろしくお願い申し上げます。